中学生以下日記 番外編

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妹よ



5月25日(金) 晴れ

名古屋での再会

ボクは3日間の休みをもらい、新千歳空港から名古屋へと飛び立ちました。
どうして名古屋へ向かったかというと、
ボクの妹が弱冠23歳にして結婚する事が決まり、
愛知県豊田市で披露宴をとりおこなうことになったからです。
妹思いの兄であるボクですが、名古屋へ着くなり嫁ぐ妹の事よりも
名物料理を食べる事ばかり考えていました。
名古屋名物といえば、”きしめん”、”味噌煮込みうどん”、
”名古屋コーチン”、最近では”味噌かつ”が有名です。
ボクは妹に会いたい気持ちよりも、とりあえず一時的欲求を優先しました。
味噌かつを食べに行きます。
あらかじめ集めた情報により、矢場町にある”矢場とん”という
創業半世紀の老舗がおいしいと聞き、
地下鉄を乗り継いでまで向かいました。
最高気温31℃の猛暑の中、汗だくになりながら辿りつきました。
店の中に入った途端、カツの香ばしい匂いが胃袋を刺激します。
朝からこの瞬間のために何も食べていません。
大急ぎでメニューに目を通します。
意外にもメニューが多かったのに戸惑いましたが、頭ではなく胃袋が
”味噌かつ丼”をセレクトしました。
さほど待つ事も無く”味噌かつ丼”が運ばれてきました。
思いのほかシンプルで、ご飯の上にカツ、そして味噌ソースが
かかっているだけでしたが、初めて食べたその味は
純粋にウマイというしかありませんでした。
コクのある八丁味噌のソースは、それだけでご飯がすすみ、
目の前の丼は一瞬で空になり、それだけでは飽き足らず
串かつを注文して食べてしまいました。
すっかり満足したボクは、ここから妹夫婦の住む豊田市へと向かいました。
豊田駅からタクシーに乗り、15分ほどで到着すると、
見覚えのある姿が目に入ってきました。
妹の夏子でした。
実に3年ぶりの再会でしたが、あまり変わった様子は感じられず、
相変わらずぽっちゃり系です。
3年振りの兄妹の再会にしては昔と変わらぬノリで
二言三言交わしただけのあっさりした感じでしたが、
その後家の中へと案内されました。
もう既に実家から両親(2年半振りの再会)と叔父さん、
それと妹の結婚相手らしき人(もちろん初対面)が待っていました。
両親はとくに老けた様子も無く、元気そうでなによりです。
妹の結婚相手は現在31歳(今年32歳で妹とは9歳の年齢差)、
ボクより7つ年上なので、さすがに微妙な心境ではありましたが
(お兄さんって呼ばれたらどうしよう)感じの良い人で、好印象を受けました。
31歳ともなればさすがに落ち着いているのだろう・・・・・と
この時は思ったのだが。
一息ついた後、旦那さんの実家(車で5分ほどの場所)の
ご両親へ挨拶に行きました。
とても人柄の良い人達で、妹とは実の親子のように接していたので
兄としては喜ばしく思うと同時に、妹の運の太さを改めて痛感しました。
最初は緊張していたのに、落ち着いてしまったら遠慮する事も忘れ、
目の前にあるご馳走を食べまくりました。
特に”エビフリャー”(名古屋の人にエビフリャーと言うと
怒られる場合があるので注意!)と
地物の山菜は格別に美味しかったです。
その日は近くのホテルに泊まりました。



5月26日(土) 晴れ

結婚式当日

結婚式当日は好天に恵まれ、とりあえずは一安心。
結婚式場はとてもキレイなところでした。
名古屋の結婚式はとても豪華なイメージがあったのですが、
少しだけ意外でした。
結婚式はつつがなくとりおこなわれ、生まれて初めて見る
妹・夏子の感涙はさすがに鈍いボクも感動せずにはいられませんでした。
披露宴会場へと移ると同じに、ボクの興味は食べ物へと移っていました。
悲しい事です。
披露宴の料理は一品ずつ作りたてを出すスタイルで、
全てが美味かつ豪華なフルコースでした。
特においしかったのは”伊勢海老の活作り”で、ボクの記憶では
これよりおいしい海老の刺身を食べた事が無いと思います。
披露宴そのものはと言えば、退屈な話などは一つも無く、
感動する心の準備が出来ていたにも関わらず、
お笑いの世界が広がっていました。
特に新郎はテーマ曲と共にルパン三世になったり、
アントニオ猪木になったり、得意のV字バランスを披露したりと
自分の持ちネタを余すところ無く披露。
文字通り披露宴です。
しかし、まぁ妹の選んだ人ならこの位は当たり前と予想はしていたので、
むしろほっとしました。
前日、落ち着いた人という印象を持ったのは気のせいだったのか?
この後、二次会でもテーマソングと共にブルース・リーとして登場。
(テーマソングはもちろん「燃えよドラゴン」)
列席した皆さんを(恐らく)誰一人として退屈させる事が無かった
その男に、人間の器の大きさを感じました。
(只のバカではない事を祈ります。)



5月27日(日) 曇りのち晴れ

さらば名古屋

久しぶりに濃密な日々を過ごし、名古屋を後にする事になりました。
もっと名古屋名物を食べたかったのですが、
(普通はもっと両親や妹と話をしたかったという事を書くのでしょうが)
あまり自由になる時間が無かったので、
名古屋でのラストは空港で”きしめん(天ざるきしめん)”を食べて
締めくくる事としました。
あまり期待していなかったのですが、
(「空港の飲食店にウマイ所無し」がボクの持論)
予想を裏切るうまさで嬉しい誤算となりました。
今度妹の元へ遊びに行く時は、「絶対に食べ歩きをしよう!」と
ひとり心に誓いました。
最後に、今回の名古屋で一番苦痛だった事は、
親戚一同より頂いた『オマエはいつ結婚するんだ!』等々、
ありがたいお言葉の数々でした。
(ボクは田舎の出身なので、
どうしても親戚達は早めに結婚を意識するようだ)
予想はしていたものの、その言葉の数々に結構ダメージを覚えました。
ボクも31歳までには考えます。
逃げるように札幌行きの飛行機に乗りました。
さらば名古屋、また来る日まで。


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